カオス
□詐欺師の恋・紳士の愛
4ページ/5ページ
自分が巻いた種なのに、どうしようかと悩んでいると、
「仁王君…いきなり逃げないで下さい。」
後を追ってきたらしい、柳生が声をかけてきた。
このまま騙しきるか…それともキチンと白状するか…。
っと考えながら、ある一点に気がついた。
「…仁王君?」
「えぇ、仁王君。なぜ貴方が女装なさってるのかは解らないのですが…」
まさか柳生に見透かされてるなんて夢にも思わず、なにも言えずにいた。
そんな俺を見て、柳生は察したように話しを続けた。
「でも…仁王君が女装をしてまで、私に好きな人が居るかを聞いてくれた。」
「…うぬぼれていたのです…『貴方に好意をもたれてると…』だから…私は…」
「うぬぼれじゃなかよ。…俺…柳生のこと、好いとんよ。」
立ち上がり、泣きそうな顔の柳生を抱きしめながら言った。
end