硝煙の吸血鬼

□悪†趣味
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『だ〜ん〜な〜…お食事持って来たっスよぉ〜…』


どうせ夕方だからまだ"旦那"は寝ているだろう…と憶測し、適当にやる気の無い言葉を吐きつつ部屋に入るフランス人。
この姿を母国の人間に見られたら間違いなく『バルバロイ』と罵られそぅなくらいの美しくない台詞とダラけた態度だ。


『ふん…夕方なのに、もぅ"おねむ"なのか?human†まだまだ青い……否だからこそ……というべきか?』


"旦那"は無気力な青年に何やら皮肉と苦笑の入り混じった様な言葉を口にしながら、やる気の無いその青二才を出迎えるかの様に潜んでいた壁からユラリと姿を現した。


『ぅぉわぁ!!!!ぁ…っぶねぇ;旦那!びっくりしましたよ!心臓止まるかと思いましたよ!マジで!!!』


血液パックを振り回しながら精一杯の不満を言う。声の少し上擦った…怒りと畏怖の入り混じった様な口振りである。


『ふっ…ははははは…。これは面白い。そんなに容易に止まるものなら一度止めてやろうか?』


嘲笑いながらも目は爛々としている"旦那"は青二才の後ろに回り込み、軽く、その青い血管が透けて見える程の白い首筋を優しく愛撫した。


『ひ…っ;あ…あんた何してんスか!!?』


赤面し、たじろぐ……やはり青二才。


『……†』


そして"旦那"は音を立てず満足げに笑う。
…手の動きを止める気配は一向に無い。





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