マイナー小説
□人の鋳型を纏い
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人の鋳型を纏い
「ハッハ――!!イグジストッ!」
「…イグジスト…」
閃光が火炎が衝撃が銃弾が。
魔族を木を岩を水を。
砕き焼き切り劈き蹂躙する。
「……楽しそうだな、レイオット・スタインバーグ」
「ハハッ!アル坊やは心踊らないのか?」
普段からは考えられないほど明るく・暗い声が鉄仮面の下からいらえる。
「貴様は不器用だ……」
呪文書式選択器を素早く操作。
瞬時に無音詠唱。
撃発音声で間髪入れずに叩き込む。
「アル坊やほどじゃないと思うがなっ!」
眼帯を外した左目に映る黒い騎士。笑いながら自他の区別なく魔法による死を振り撒く死神。
この男と、自分、魔族を隔てる境界は紙ほどの厚みもない。その脆さを知りながらこの男は縋っている。
「……貴様は生きながらに死ぬことも満足に出来ない半端者……」
「ハハハハハハッハ――!!」
呟きは轟音にかき消される。
「………ならば、俺が貴様の世界を砕いてやる………くくっ………殺すのはそれからだ………俺と同じ所まで落ちてこい………レイオット・スタインバーグ………」
「何してるんだアル坊や!」
「…くくくく………」
いつか必ず……
end