□嗜血
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彼が、紅く染まりながら艶やかに微笑んでいる


それは

彼の一番美しい表情


辺り一面の紅も

彼を引き立てるモノでしかない


血に飢えた

汚れなき獣


夥しい肉塊に埋もれようと

純粋無垢なまま

彼は、血涙に溺れながら

無自覚に人を狂わせていく


引き返せない程、深みに嵌った私は

正気と狂気の狭間で

彼に侵蝕されていく


彼は私の細胞を一つ残らず喰らい尽す




私は彼のモノ

彼は私のモノ




世界には彼と私だけ存在すれば良い

他なんて、いらない

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