詩
□誤差
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貴女を喪い、全てに失望した日
俺は奈落へと堕ちた
最低最悪な境涯の、絶望の淵で見つけた
ごく僅かな一縷の希望
貴女が生存しているかもしれないという希望
その儚い輝きに追い縋って
貴女だけの安否を祈ってきた
そして
貴女は生きていた
やっと
貴女に手が届く
一度は喪ったと思った貴方が
ようやく…
手に入ったと思った
手が触れる寸前の僅かなズレ
その一寸の誤差が最大の過ち
やっと
やっと
逢えたのに
抱き締められたのに
手が届かない
何故
俺達を引き離そうとする
俺達は、共に居る事さえ赦されないと言うのか?